「雪と珊瑚と」 梨木 香歩 著 角川書店珊瑚、21歳。生まれたばかりの子ども。明日生きていくのに必要なお金。
追い詰められた状況で、一人の女性と出逢い、滋味ある言葉、
温かいスープに、生きる力が息を吹きかえしてゆく―。シングルマザー、
背水の陣のビルドゥング・ストーリー
*********************************************************************************
梨木さんの物語では、とても読み易いかな。
「家守奇譚」でも、「村田エフェンディ」でも、淡々と文章が進み、
最後にあざやかな言葉で しめくくるパターンが多いと思った作家さん。
今回は、物語の最初から、
”働き場所はないわ、子供も預けるところもなく、頼れる親戚もなし”
というギリギリの状態からの脱出でした。
時々、「??」って箇所あります。
娘の雪ちゃんが熱を出したとき、国民健康保険に入っていない事が
明らかになりますが、その後、保険の話ではなく店についての話題に
なっている。
「おい、子供いるなら保険は必須でしょうが^^;」と突っ込みを
いれつつ、彼女の無知にびっくり。
考えてみると、彼女は二十歳そこそこ。子供の時に親に育児放棄されてる。
彼女には、何か足りないんです。
それを埋めてくれたのは、くららさんやパンや夫妻、友人。。
(貯金もないシングルマザーが考えることは、とにかく働くことで、
自分の店を開くって発想には普通ならないんじゃないか?
成功したからいいようなものの、失敗したら、と普通のマザーは
考えると思う)
珊瑚の周りには、本当にいい人ばかりそろってる。
美知恵さんの、”私は貴方が嫌いです”の手紙も、珊瑚にとっては
耳は痛いけど、いいアドバイスになってる。
確かに若いときに同棲・結婚・離婚し、シングルマザーになった珊瑚は、
考えなしに、突き進みましたが、
「シングルマザーだから、他の人はやさしくて当然」
という態度では、決してなかったです。ただ、子供のためを考えると、
プライドや外聞を捨てて、くららさんに頼り、別れた夫の両親に自分に
何かあったときに、雪をよろしくと頼んでいる。
美知恵が、なぜ珊瑚が嫌いか?
・自分は、珊瑚以上に苦しい生活をしてるのに 周りの態度に差がでてる
・成功した珊瑚が妬ましくて、つい手紙で鬱憤をはらした
・自分は人に頼らない生活をしてる。それが当たり前と思うと、
珊瑚の生き方が許せなかった・・ってとこか。
悪意でない思いだとしたら美知恵の考え、割と私は好きです。
実際問題、珊瑚のような人がいたら、私ならどうするかな。
多分、自業自得としながらも、手を差し伸べずにはいられないでしょう。
にほんブログ村子供のいる人を暖かく見守るのと、社会まなーを守れない子供を放置する
のとは違います。スーパーで走り回り子供を叱らない親がいたら、
当然、他人でも私ならどやしますww
posted by kiyorin at 21:39|
Comment(0)
|
梨木香歩
|

|