2009年08月04日

光の帝国  常野物語


光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/09
  • メディア: 文庫





光の帝国  常野物語  恩田 陸  集英社文庫

”常野という東北のある所の出身の人には、超能力のような特別な力をもつ一族が、住んでいて、現在、その一族は能力を表にださずに、黙々と仕事をこなしながら、ひっそりと現代社会に暮らしています。”

話は、そんな彼らの日常を描いた 連作短編です(9編)
最初の「大きな引き出し」は、最後は、ちょっと出来すぎかなとおもいながら、わかりやすかったし、ホっとしました。
反対に、「草取り」は怖かった・・・
普通の人の目には見えないけど、人間にも”草”が生えて、抜かないと、どうしようもなくなるなんて。。。きゃ^〜〜キモいし、夢に見そうでいやだ・・(泣)

題名にもなった「光の帝国」は、とてもかわいそうな話です。旧日本軍の不条理に怒りを覚えますが、最後の短編「国道を降りて・・」で、ちょっとホっとします。
私も ツル先生に会ってみたい^^)

”謎”が多すぎで、特にわからなかったのは、「歴史の時間」
これは、短い話なのに 最後まで読めないかと思った

あと、2冊、このシリーズは文庫で出ていますが、(読むつもりです)、彼らの能力の不思議さは、きっとわからないままかも。
それでもいいような気がする不思議な 物語です
posted by kiyorin at 01:44| Comment(0) | 恩田 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月15日

蒲公英草紙 常野物語


蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/05/20
  • メディア: 文庫




蒲公英草紙 常野物語  恩田 陸 著 集英社文庫
常野シリーズ2作目。今回は長編です

<あらすじ>
”お婆さんと思われる女性の思いで話しから始る物語。
彼女・峰子が、故郷の村の旧家・槇村家に お嬢様の話し相手に出入りする
頃からの話です。

槇村家には お嬢様の聡子様は、病弱で学校も行っていませんが、峰子が出入りする
ようになって、少しづつ健康になっていきます。(のように見えるかな)
槇村家は、ある歴史的な事情から、村のために当主は いろんな働きをします。

貧乏な家の子を書生にしたり、画家の卵、仏師、奇天烈発明家、代議士
いろんな人が出入りし、いろんな事が起こります。
村のためになることなら、財産もおしげなく使う家風。

で、槇村家に、常野の春日一家もやってきました。
彼らには、とにかくなんでも記憶し、人の心すら記憶する特殊能力の持ち主

一方、聡子様は、峰子と、一緒に、
村の子供の面倒をみる(保育所?みたな)までになりました。
ある時、台風がやってきて、ちょうど子供達を見ていた二人は 
お寺に避難することになるのですが・・・”
     
      * * *` * *

最初は、もったりというか、ゆったりしています
(読んでいて、途中で何度も眠くなった)
それでも続けて読めたのは、この村の様子が、一種、閉じられた桃源郷
のように、平和で、その様子に癒されるからかな。
予知の能力をもっていそうな聡子様の言動も気になりました。

ただ、村は良くも悪くも、そこだけでなので、世界大戦へつながるあやうい世情なのに、そんな事は、何も知らず平和です


桃源郷・・じゃあ、私はそこに住みたいか?といわれると、即答できないです
平和で助け合いの村は、逆にいくと閉鎖的で 
うっとうしくなる気もします


槇村家に出入りする代議士が、自分の生い立ち 
「貧しい家で 姉は自分の代わりに
両親に酷使されたあげく、二束三文で売られた」を独白した内容は、スッキリします

代議士の育った村が、現実の村であり、槇村家の勢力下にあり、主人公
の故郷である村が、ありえないくらいです。

ところで。画家の椎名は、新太郎の純粋性の危うさと、国の方向性の危険を わかっていたようです。
こういう冷静な人を 家に逗留させる家長の力が、旧家ならではです

聡子様と峰子が遭難するのは、もう話しの最後の最後のほうですが
この件は、涙なしでは読めない・・号泣もん

光比古は、最後で不思議な力を発揮。
聡子の一生を、情景と、その感情も周りの人と共有するのですから
人間は心は 自由であるとも孤独とも 言われてます。
例えば 誰かの感情を、頭では理解できても
同じく共有する事が出来ない。それが、光比古は 出来たんです
(まるでバルカン人かww)
まあ、人類すべてが、同じ感情を共有する なんてのは、まっぴらゴメンですが・・
「たまにならいいかも」くらいで

ちなみに、〜比古は、神様の名前で。よくでてきますね

本当にページの最後になって、語り手峰子の現在の状況が出てきます。
「おおおっとって」かんじで、予想外でした
絶望する自分を 離れたところから観ています
峰子は、光比古に問いかけるところで 話しは終わり
絶望しつつも、自分の嫁と孫のために、峰子は奮闘するでしょうけど

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2009年09月08日

麦の海に沈む果実


麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 文庫




麦の海の沈む果実  恩田 陸 著  講談社文庫

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。
二月最後の日に来た理瀬の心は、揺らめく。
閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒達。
生徒を集めて交霊会を開く校長。
図書館から消えたいわくつきの本。
理瀬が迷い込んだ「三月の国」の秘密とは?
  (裏表紙のあらすじより)

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最初、数ページ読み、幻想的で「無理かも・・^^;」なんて、思ったけど、理瀬の(奇妙な)学校生活が、始ると、どんどん読めました。

舞台は、釧路湿原に立つ周りから閉ざされた私立の学園。
湿原の中の丘にあります。

私も何度か湿原を見に行きましたが、本当に湿原の真ん中に丘があって、不思議。(どこかの大企業の所有なんだそうです)
確かあそこへは、道はないかも??

物語は、どんどん事件が起きます。謎は深まるばかりなのですが、解決してみると、案外、単純な構造だったりしました

ところで、この話には、まだ謎が残ってます。
巧君は、本当のところどうなったのか?
零二は やっぱり??(かわいそすぎる)
謎が解決して、クリアになるのではなく、解決した結果、いろんな人の黒い面が浮き出てきた というところでしょうか。

「三月は深き紅の淵を」という恩田さんの作品と、密接なかかわりがあるようなんで、探してみるつもりです。

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2009年10月15日

エンドゲーム


エンド・ゲーム―常野物語 (集英社文庫)

エンド・ゲーム―常野物語 (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: 文庫




エンドゲーム  恩田 陸 著  集英社文庫

あれ」と呼んでいる謎の存在と戦い続ける拝島時子。
「裏返さ」なければ、「裏返され」てしまう。
「遠目」「つむじ足」など特殊な能力をもつ常野一族の中でも最強といわれた
父は、遠い昔に失踪した。
そして今、母が倒れた。
一人残された時子は、絶縁していた一族と接触する。
親切な言葉をかける老婦人は味方なのか?
「洗濯屋」と呼ばれる男の正体は?
    (裏表紙 あらすじより)

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常野シリーズ3作目。1作目(短編集)で出てきた拝島親子の話です。

ある種の人々が、植物に見える母・瑛子、同じくボーリングのピンに見える
娘・時子。

短編では、謎のままでした「裏返す」って事すら本人達も意味すらわからずに
戦ってきました。
3巻目はその謎が解けるわけですが・・・ううm 難しい・・

瑛子の悩みはつきません。
”自分はこう思っているけど、事実は違っていて単なる思い込みかもしれない
”人は見たいものしか見ない”

”アレがみえる自分は、脳の異常なのか”←は、知り合いの脳外科で診て貰う
事になりました。結果、異常なし

「我思うゆえに我アリ」と我思う・・の世界で、ややこしいです。
深層心理の中の世界で動いたり
その世界は、不条理の世界で、法則がないからまたやっかいで・・^^;

結局、”裏の裏は表”という結果になり、一応はハッピーエンド・・かな
パパさんは、ちょっと可哀想だった気もするけど・・

何かの本(宗教関係)で、「人間は、現世という舞台にでて 自分の役割を
演じる役者であり、演技が終わったら、舞台袖に退場し神の元にもどるだけ」
というような、文章があったのを思い出しました。

結局、彼らは”役割を演じている”だけで、終わると、次の舞台の役を演じる
だけである ってことなんだろうか・・・
ムズイ話しでした

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2009年10月22日

ドミノ


ドミノ (角川文庫)

ドミノ (角川文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 文庫




ドミノ  恩田 陸 著  角川文庫

1億円の契約書を待つ、締め切り直前のオフィス、下剤を盛られた子役、別れを画策する青年実業家、待ち合わせに辿り着けない老人、警察のOBたち、それに・・・・。
真夏の東京駅、28人(27人と1匹)の登場人物はそれぞれに、何かが起こるのを待っていた。
迫り来るタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬもの同士がすれ違う一瞬、運命のドミノが倒れていく!
抱腹絶倒、スピード感あふれるパニックコメディの大傑作
(裏表紙 より )

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恩田さんの作品で、読了したのは、常野シリーズと 「麦の海に沈む果実(釧路湿原を舞台にしたミステリー)」・・・これはまた^^;;
180度、ガラっと違う、同じ作者と思えないくらい

とにかくおもしろいしおかしい、何度も大笑いし、腹がよじれるほどです。最近、読んだ本では 一番にコメディだったかな

最初、登場人物の多さに「え?読みきれるかな?」と不安だったのですが、一人ひとり別の描写をしながらも、しだいに東京駅に集合していく件は、「すごいな」と 感心しました。

ネタバレになるけど、過激派が ”どらや”の紙袋に入れた爆弾を、他の人のと、取り違えたことから起こるドタバタです。
結局、”どらや”の紙袋は、3つでてくるのですが、それが、東京駅を中心に、右往左往しますww

ひさびさに大笑いしたので、免疫力が高まって 新型インフルの備えになったかもwwww

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2009年12月21日

ユージニア


ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/08/25
  • メディア: 文庫




「ユージニア」  恩田 陸 著  角川文庫

「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人が分かるの?」
こんな体験は初めてだが、俺が分かった。
犯人は今、俺の目の前にいる、この人物だー。
かつて街を襲った悪夢、名家の大量毒殺事件。
数十年を経て解き明かされていく、遺されたもの立ちの思い。
いったい誰がなぜ、無差別殺人を?
見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実をかたって
いるのか?
日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー
 (裏表紙より)

***************************************************************
推理ミステリーなので、ネタばれしないようにきをつけましたが、
未読の方は、ご注意を^^;

一言・・読むのにとても時間がかかりました。
(解説で、作者さんも書くのに時間が かかったそうなんだけど)

これは、誰かわからないけど 昔の大量毒殺事件の関係者をインタビュー
して、その質問に各人が独白する形の文章が 殆ど
誰が なんのためにインタビューしているのかが、わからないので、読者
が、インタビューしているきになり、注意深く各人の証言の差を 考える
ので、読むのに時間がかかったのでしょうか

現実の事件を思わせる場面が多いです。
まず、帝銀事件(毒を使って大量虐殺)、
松本サリン事件(被害者が加害者であるかのように、無関係の人間から
非難などのイジメをうける)
和歌山の毒入りカレー事件
母親の食事に毒を入れ、その様子をブログにつづった女の子

ちょうど読み終わった時、
”生きていても退屈だから死刑になるために、無差別殺人をした”という
犯人への死刑判決が出た日で、
「事実は小説よりも奇なり」というか、小説が思いつかないくらい残酷で
わけのわからない事件が 現実で続いてます。

「犯人はふたりで、ユージニアってこういう意味だろう」
というのは、推察できるけど、小説の構成で、このふたりに直接、事件に
かかわる記述が極端に少ないので、結局、真実は闇の中でおわりです
・どんな毒を入れたとか
・犯人になぜ、そこまで入れ込んだのか、なぜ自殺したのか
・古本屋は本当に失火だったのか
未解決のままです。

もし ***さんが、当時のままだったら、インタビューした人は、
納得しないまでも、まだ、話しは違ったかも。
***さんが、貧相で目立たない平凡なおばさん。
そんな人が、昔、大量殺人を犯したんだ というのが恐怖です

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2009年12月31日

不安な童話


不安な童話 (新潮文庫)

不安な童話 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 文庫




「不安な童話」  恩田 陸  著  新潮社文庫

私は知っている、このハサミで刺し殺されるのだーー。
強烈なが慨視感に襲われ、女流画家・高槻倫子の遺作展で気を失った
主人公の古橋万由子。
彼女はその息子から「25年前に殺された母の生まれ変わり」
と、告げられる。
時に、溢れるように広がる他人の記憶。
そして発見される倫子の遺書、そこに隠されたメッセージとは・・・・。
犯人は誰なのか、その謎が明らかになる時、禁断の真実が浮かび上がる

*************************************************************
ファンタジー系ホラー風味のサスペンス?
なかなか、ジャンルわけが難しい作品なのだそうです。

恩田ワールドですww
でも、難しくはありません。むしろ読みやすくて 半日で一気。
本格サスペンスを期待されてる方には、ちょっと物足りないでしょう

海辺でおきた殺人事件。女流画家も海のある絵を何枚も残していて、
その描写があるせいか、過去とはいえ、殺人事件を扱ったわりには、
ファンタジーを感じます。で、絵の描写は 思い浮かべるとホラーで・・

物語の鍵は、万由子の特殊能力です。


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読み終わって、もう一度裏表紙のアラスジを読むと、なんか、バレバレの言葉が・・^^:::
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2010年01月13日

中庭の出来事


中庭の出来事 (新潮文庫)

中庭の出来事 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/07/28
  • メディア: 文庫




「中庭の出来事」  恩田 陸 著  新潮社文庫

洒落たホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。
容疑は、パーティ会場で発表予定だった「告白」の主演女優
候補三人に掛かる。
警察は女優三人に脚本家の変死を巡る一人芝居「告白」を 演じ
させようとする。・・・・という戯曲の「中庭の出来事」を
執筆中の劇作家がいて・・。
虚と実、内と外がえっまぐるしく反転する眩惑の迷宮。
芝居とミステリが見事に融合した山本周五郎賞受賞作。
  (裏表紙より)

******************************************************
本の帯には、”恩田マジック全開!!”との宣伝文句・・・
まさに全開でした・・ってか、よくわからなかった(-_-;)

”中庭にて”と”旅人たち”の二つの話で、混乱しました。
旅人たち は 最初は、”あっち側の世界”かと思いました。
なにか 静寂な場所だけど、分かれ道の駅 のような。

劇作家は、他殺?事故?自殺?・・生きてるのか・・^^:::
それぞれ個性的なキャラを演じていた女優も、最後の最後で
どこにでもいる同じような3人に変身。
実際に死んだのは、もしかして就活中の女子学生だけ????

現実の劇作家が出てきて、物語を 変えて また再現してみたり。
まさに迷宮の物語でした

結局、人生は舞台、自分を生きることが演技、他人は観客 
というテーマだった・・・のかな^^;

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2010年04月24日

ネバーランド


ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫




「ネバーランド」  恩田 陸  著  集英社文庫
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟(ショウライ)館」。
冬休みを向かえ多くは帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が
寮に居残りを決めた。
ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。
そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。
日を旺ごとに深まる「謎」
やがて それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。
驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフティ
  (裏表紙 より)

*************************************************************
正確にいうなら、居残ったのは、美国、寛司、光浩で、地元で一人暮らしの
統が、寮におしかけ

3人が寮に残った理由は、暗く重いのもあれば、美国のように
「両親が海外赴任中だから」という単純なものもある。
ただ、美国には、他にトラウマがありました。

事件そのものは、たいした事ではないので、安心して読めますが・・

4人の抱えている過去が、すさまじい・・特に光浩・・

なぜ、「告白or実行」ゲームで4人は告白を選んだかが、
この話しの鍵になるかも。

このゲームは トランプなどで負けた人が、告白するか、誰かに命令された
事を実行するかしないといけないゲームです。

「実行」を選んで、ばかげた遊びで盛り上がることもできたし、「告白」でも、嘘八百を言ってもかまわなかったでしょう??
でも、真実を告白した。それもかなり際どい内容のものもありで

つまり彼ら4人は、自分の抱えた過去とトラウマを
吐き出したかったから。

古い寮、
4人以外誰もいない、
期間限定 
ということでちょうど良かったのでしょう。
冬休みが終わり 普段の生活が始ると、「告白」タイムは終わり

************

前回読んだ恩田さんの作品は「ユージニア」だったかな。
作風が明るいかんじです。
単行本の発行が2000年ですから、今から10年前
今の若者(特に高校生あたり)が、この作品を読んで、どう感じるかが
ちょっと興味あります

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2010年05月13日

夜のピクニック


夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫




「夜のピクニック」  恩田 陸 著  新潮社文庫

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」
それは、全校生徒が夜を徹して80km歩き通す、
という北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために・・・。
学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、
親友達と歩きながらも、
貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。

本屋大賞を受賞した永遠の青春小説
  (裏表紙より)

****************************************************************
おもしろかった〜〜。^^)
これは、大人はもちろん、中高生に、おすすめの一冊。

舞台は地方都市らしい町の進学校といわれる高校。
そこで行われる ”24時間歩きっぱなし祭り”の間の話。
主人公の貴子と、融の二人の心を中心にすすむ物語です。
時間も場所も登場人物も限定されてますが、それを感じさせない

貴子と融の関係が メインですが、そのほかにも、
忍君の”相談され役”で困ったとか、
茜ちゃんの”1年前のおまじない”とか。
夜にハイテンションになる光一郎君とか、登場人物が魅力的。

ラストも読後感最高です。

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貴子や融の立場にも、ましてやその母親の立場にも、なりたくないもんだ・・融の母親は 一生 「なぜ?」のと思いながら、生きる事になってしまった。
posted by kiyorin at 00:20| Comment(0) | 恩田 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月08日

朝日のようにさわやかに


朝日のようにさわやかに (新潮文庫)

朝日のようにさわやかに (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/05/28
  • メディア: 文庫




「朝日のようにさわやかに」  恩田 陸 著  新潮社文庫

葬式帰りの中年男女4人が、居酒屋でなにやら話し込んでいる。
彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。
同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されていたからだ。しかしなぜ・・・・(「楽園を追われて」)。
ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。
ジャンルを調節した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集
  (裏表紙 より)

*********************************************************
・水晶の夜 翡翠の朝  ・おはなしのつづき
・ご案内        ・邂逅について
・あなたと夜と音楽と  ・淋しいお城 
・冷凍みかん      ・楽園を追われて 
・赤い鞠        ・卒業
・深夜の食欲      ・朝日のようにさわやかに
・いいわけ

の14編です。短編というよりショートショートに近い作品もあり、
あらすじを書くと、そのものズバリになってしまいますwww

私が、おもしろいと思った作品は

「水晶の夜 翡翠の朝」 これは「麦の海に沈む果実」ででてきた学園が舞台、主人公はヨハン君。邪悪ですwww
このヨハン君が、魅力的。

「麦の海〜」にでてくる学園は、釧路湿原という平原の岡に立つ学園という設定ですが、湿原=歩けない場所も多い というところから、その学園のもつ閉鎖性が、今回も特徴的でした。

小説現代増刊メフィストという雑誌において、
「薔薇の中の蛇」という作品名で、ヨハン君が主人公の話で連載中なんだそうです。舞台はイギリスとか。これは、読んでみたい。
はやく本にならないかな〜〜

「おはなしのつづき」 この短編集の作品を読んできて、この話しも途中まで、どんでん返しや、人間の暗い部分が隠れているのかと、疑いながら読んでいきました。
違いました。哀しくて優しい透明な話しです。疑った自分が、いかにスレてるかって思いましたww

「淋しいお城」  子供可哀想物語。ブラックファンタジーです。で、出てくる子供は、淋しい子供。どういう子がそういうのかは、読んでのお楽しみ。不思議な魅力の筋肉オカマのミドリマンも登場する本が、そろそろ刊行されるそうです。

「楽園を追われて」 他の作品と比べると、なんというか"普通”ww
でも、味わい深いものがありました。
高校時代にあまり良い思いでのない私としては、チトうらやましい4人の話でした

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2010年06月15日

まひるの月を追いかけて


まひるの月を追いかけて (文春文庫)

まひるの月を追いかけて (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫




「まひるの月を追いかけて」  恩田 陸 著  文春文庫

異母兄・研吾が奈良で消息を断った。
たったの二度しか会った事がない兄、その彼女に誘われて。
私は、研吾を捜す旅に出る。
早春の葦原神宮、藤原京跡、今井、明日香、・・・。
旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。
それは真実なのか、嘘なのか。旅と物語の行き着く先は・・。

恩田ワールド全開のミステリーロードノベル。
  (裏表紙 から)

****************************************************************
さて・・・なるべくミステリーの謎をさらさないように、感想を
書きたかったけど、今回は無理。

奈良地方の歴史を感じさせる風土が大好き、って方にはピッタリ。
「夜のピクニック」の成人版として期待した人は、
ちょっと肩透かしかも。

で、ここからは、未読の方はご注意くださいませ

主人公は静、どうも旦那と離婚したようです。
失踪中の兄、研吾。父親が静と同じで、母親の溺愛+溺愛で情緒不安定に
優香利、研吾の学生の時からの 恋人(?)
妙子、優香利の友人、研吾の事を密かに慕っている。

さて、物語は旅に出発する新幹線の中から始ります。
”優香利”だと思った人物は、実は妙子だった。
彼女は、嘘ばかりついていたことになりますが、
彼女なりに切実なのは、ある種の予感みたいなものが、働いていたのでしょう。

自分の好きになった人が居所を詳しく知らせず、「遠くへ行く」という
これは、心配。
自分だけでは研吾は出てきてくれないので、静を一緒に(囮)に、旅を
して、研吾をおびき出します。

研吾の「遠いところへ行く」は、思わせぶりのダメ男っぷりでした。
正直に「出家する」といえばいいのに。

仏教の事はわかりませんが、例えば、キリスト教のカトリックで、
考えてみます。
カトリックには、観想修道会というのがあって、世俗とのつながりを切って 修道僧達が、ある種の生活共同体を作ってはいますが・・
仏教の宗派でも、そういうのはあるのかな?
(普通のお寺は妻帯者の坊さんが多いけど?)

修道会といえど、独立国ではないので、僧院で揃わないものがあれば
買出しにでる(注文する)、自給自足が原則でも足りないところは、
ワインなどを作って売り、収入とする。
それに、修道者同士の共同生活も大変なようです。
研吾が期待しているような、
「外の世界はもうイヤだから出家する」
と、出家に期待する気持ちは、実際問題、若干は裏切られるでしょう。

物語の中で 一番、人間っぽいのは、研吾のお母さんでしょうか
逆に、よくわからない のは、静。
「自分は人生の脇役」とばかりに、一歩ひいた形で、他の登場人物も
実は、彼女を通じて別の女性を見てます。そこがミステリーといえば
ミステリーになるかな・・(私は物語の半分前で予想できたけど)

静は、感情の起伏が極端に平坦なのでしょう。
静の離婚の理由がわからない というより、結婚の理由がわからない
物語の最後で、”新しい物語が始ろうとしていた”とありますが、
彼女は、新しい物語で主人公や準主役を演じないと、
一生、このまま 一人で生きていくタイプなのかもしれません

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2010年10月02日

月の裏側


月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 文庫




「月の裏側」  恩田 陸 著  幻冬舎文庫

九州の水郷都市・や納倉。
ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも堀割に面した
日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり
戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。
まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?
事件に興味を持った 元大学教授・協一朗らは、<人間もどき>
の存在に気づく。・・・・

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全部で450ページ余り、読み始めたときは、状況がよくわからなくて
「途中で挫折するかも」 と思いました^^;;

主な登場人物は 4人、元教授の協一朗と、教え子の多聞、教授の娘の藍子
新聞記者の高安。
協一朗は、なにか漠然とした疑惑があったんですね。
で 失踪事件を機に多聞に 謎解きゲームに参加してもらい、途中で2人が
加わり本格的に調べ始めました。

最初は、ウダウダとしてて、冗漫な感じ。
前に買っていた猫を火葬した際、タール状の物質になったあたりから、
ホラーっぽくなります。
人がいなくなって、記憶がないとなると、私は、新興宗教団体による
拉致監禁を 疑います。洗脳されて、失踪中の記憶は喋らないとかね
多聞はともかく、協一朗は、最初から疑っていたんですね
(弟夫婦の一時失踪に関連して、疑問をもつ)

あからさまに読者にわかるようになるのは、図書館での出来事あたり
淡々と進むなかで ザワっとするような事がポツっとはいり
序じょに、恐ろしさが増します

考え方も意識もほとんどかわらない自分が、体だけそっくり のっとられても
いいのか。。。
多聞は自問自答しますが、・・・・そんな必要なかった

小林氏の「人間は多様性を求めそれを必要としながら、一つになりたがっている」
というような言葉に、共感しました

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posted by kiyorin at 15:36| Comment(0) | 恩田 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月01日

いのちのパレード

いのちのパレード (実業之日本社文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 実業之日本社 (刊)

「いのちのパレード」  恩田 陸 著  実業之日本車文庫

あちこちから指や手の形をした巨岩が 飛び出す奇妙な村に、妻と私は
やってきた(「観光旅行」)
主人公のフレッド君がが起きぬけから歌うのは、ミュージカルだから
(「エンドマークまでご一緒に」)
「上が」ってこの町を出るために、今日も少女たちはお告げを受ける
(「SUGOROKU])

小説のあらゆるジャンルに越境し、クレイジーで壮大なイマジネーション
が 跋扈する』恩田マジック15編。

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月間 「ジョイ・ノベル」で連載されていたものの集めた短編集。
15編あるけど、本当に、ジャンルがバラバラで ホラーもあれば、ファンタジー
もあり。正直「え〜〜〜 これで終わり?」という話もありましたが、
おおむね、楽しめました。

私の好みは、「蝶使いの春、そして夏」「夕飯は七時」
「エンドマークまでご一緒に」の三つかな

「蝶使い・・・」は、死者の霊魂が花になり、それを黄泉に沈めるという
不思議な儀式をとりしきる男のはなし。哀しいけど、ファンタジー

「夕飯は七時」は、子供の能力ははきりしれないwwってとこでしょうか^^;
”ごくらくとんぼ”の言葉で起きる騒動で、大笑いしました

「エンドマーク・・」は、主人公がミュージカルの中で生活している設定
本人も大変だろうけど、まわりも、非常に迷惑 コミカルだったけどね

***************

さて、表題の「いのちのパレード」本の題名にもなった話は、後書きにも
あったけど、星新一の短編に似たようなのがあったそうで、読んでいて
「あれ?」という感じでした。

ホラーも多いけど、真に怖いのは、「あなたの善良なる教え子より」かな
最初こそ、”正当防衛"も成り立つような。。。でも なんだかどんどん
おかしくなっていく主人公の心にひきづられた

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2011年01月08日

木漏れ日に泳ぐ魚

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 文藝春秋 (刊)

「木漏れ日に泳ぐ魚」  恩田 陸 著  文春文庫

舞台は、アパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女が、最後の夜を
徹し語り合う。
初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後姿・・・
共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。
濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる本当の真実とは。
不思議は胸騒ぎと開放感が満ちる傑作長編。

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感想を書くと、どうしてもネタバレに近くなるので、未読の方はご注意を・・

回想シーンもはいるとはいえ、アパートの一部屋だけで、登場人物も現実には
二人だけ。それで最後まで読ませるのだから、すごい

状況としては、「夜のピクニック」に似ているところもあるかな
ただ、大人だけにおどろおどろしい・・と思わせておいて
最後はアッサリと行きました
障害がなくなったのだから、二人は恋愛関係に戻れるはずなのに、
戻らなかった。
つまり、二人は兄妹愛のようなものを、男女の愛と勘違いしてたんですね
だから、悲劇ではなく、実は喜劇を演じていたということになる

二人の愛は、”エロス”ではなく”フィーリア”だった。
これを機に、二人とも、もうちょっと"愛について”大人になるかと 思ったら
そのままでした。

ところで、この物語は、アキ(女性)とヒロ(男性)は、いろいろお互いの
体験や過去を照らし合わせて、意外な事実をつきとめます
でも、それは、あくまで二人の中での推論であって、実証されたわけじゃない
本当は兄妹かもしれないし、実の父親の事故死もアキの推論でしかないと
思う。そうして、関係者が亡くなっていくので、事実は実証されないまま
闇のままなのではないかなと、私は感じるが・・

”二人とも、実の父親の事故死には関与していない”ということで、
あっさりと、過去を捨てていくのかもしれません。
複雑なようで、単純な二人かも

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2011年03月04日

猫と針

猫と針 (新潮文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 新潮社 (刊)

「猫と針」   恩田 陸 著   新潮社文庫

高校時代の友人が亡くなり、映画研究会の同窓生男女5人が 葬式帰りに
集まった。小宴がはじまり、四方山話に花が咲くが、どこかぎこちない面々。
誰かが席を外すと、憶測をめぐらして不在の人物について 語り合う。
やがて話題は、高校時代の不可解な事件へと及んだ・・・。
15年前の事件の真相とは?そしてこの宴の本当の目的は?
著者が始めて挑んだ密室心理サスペンス劇。

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恩田陸さんの 密室心理サスペンス・・・
難しいかなと、思ったら、完全に劇の台本形式で、ほぼ、セリフで進んで
行きます。
なにか、恩田さんの作品には、引き込まれるものがあるのか、あっというまに
読みました。おもしろかった(いろんな面で)

物語は、前口上(劇の台本を書く事になった経緯)、台本、後書き、解説
とあり、本編は、それほど長くないです。
それでも、
「え〜〜?そっちの方面に話がいくの?」「そういう設定だったの^^;」の
連発で、おもしろかった。
詳しくは読んでのお楽しみです。バラすと面白みがなくなるし・・

解説の横内さんの話によると、実際は、この「猫と針」の上演 ギリギリに
原稿が、順次でてきたそうです。
原稿が出来た先から、俳優が練習に入り、美術関係や演出が打ち合わせする。
”稽古場にとどく連載小説”という言い方をされてました。

この物語の内容で、それをやられると、現場は大変だったでしょう^^;
練習してきたのに、新しい原稿で、設定が明らかになって、もういちど
劇関係者は、やりなおしをすることにwww
苦悩する関係者が、想像できて、申し訳ないけど、思わず笑ってしまいました。

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2011年11月16日

蛇行する川のほとり

蛇行する川のほとり (集英社文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 集英社 (刊)

「蛇行する川のほとり」  恩田 陸  著  集英社文庫

演劇祭の舞台装置を描くために、高校美術部の先輩、香澄の家で夏合宿に誘われた毬子。
憧れの香澄と芳野の申し出に有頂天になるが、それもつかの間だった。
その家ではかつて不幸な事件があった。
何か秘密を共有しているような二人に、毬子はだんだん疑心暗鬼になっていく。
そして忘れたはずの、あの夏の記憶が蘇る。
少女時代の残酷なほどのはかなさ、美しさを克明に描き出す

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”好きか嫌いか”といわれると、嫌いのほうに、私は少し傾くかも。

篭城人物は、主人公の毬子、香澄、芳野、月彦、暁臣、毬子の親友、真魚子
この4人は、まおこ以外は、本の中で秘密主義で なかなか真実にせまれないのが、
もどかしくて、結構、熱中して読み進みました。

印象は、登場人物たちの劇をみてるようで、その中で 香澄とその母親の劇の再現を
見せられているようだった。

ちょっとネタばれになります。
母親については、実際にこの方法で成り立つのかどうかとか、
もっと簡単な方法があっただろう?とか
母親なのに、香澄に重大事をおわせることに躊躇がないなんて?
という疑問もあります。

それよりなにより、母親が自分に酔って人生を演じていて、娘もそれに巻き込まれてその役を
演じ終わった。(明らかになるのは、過去の事実でそれも推量でしかないかも)

「私って夫を愛しすぎて食べてしまいそう・・・だからこうするの、小船の中の私、
波に揺られてながされていくの・・」ってかんじ。^^;
私は「バカじゃね??」と言いたくなりました。

反感をもちながらも、最後までハイスピードで読婿とが出来た 不思議な一冊でした。

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2013年02月26日

きのうの世界 上

きのうの世界(上) (講談社文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 講談社 (刊)
「きのうの世界」   恩田 陸 著  講談社文庫
上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で
死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、
町の外れの「水無月橋」で死んでいた。
この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成
 (「BOOK]データベースより)
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やっと上巻、読みおわりました。
いろんな人が出てきますが、それはそれとして、わからないのが、話の主な部分をしめる
語り手と「あなたは〜でしょう」と その話を聞いている人です。
斬新なアイディアなんだろうけど、その必要性が、下巻でわかるのかな・・・

”水路のはりめぐらされた町のミステリー”といえば、「月の裏側」(恩田陸 著)が、
怖かったのを思い出しました。
この物語は、それほどおどろおどろしくないので、普通にミステリーなのかな

下巻に乞うご期待かな

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2013年02月27日

きのうの世界  下

きのうの世界(下) (講談社文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); 講談社 (刊)
「きのうの世界 下」  恩田 陸  著 講談社文庫
塔のある町が抱える秘密を住人たちは何も知らない。夜に塔を見てはいけないという町に
伝わる不思議な教え。亀とハサミと天の川のステンドグラスが表す意味とは。
殺された男は駅の掲示板に奇妙な貼り紙を持ち込み、誰かと連絡を取っていた。
彼は町の秘密に触れてしまったのか。雨が降る。町の本当の姿が明らかになる
(「BOOK」データベースより)
**************************************************************************
上巻の進み具合から、もっと読了に時間がかかるかと思ったら、さくさく読めたし、
おもしろかった。

上巻で、「あなた」と呼びかけられてた人は、研究者でした。
一応、下巻でも探偵の役目で・・この人が主役?と思ったら・・・違いました。
思うに、作者は主役を作りたくなかったのかな?
しいて言うなら、物語の舞台になった町?それとも市川悟郎?かな?

幽霊の正体みたり というような終わり方でした。

登場人物は、真実を少し語ってはいるけど、おどろおどろしさを演出する役で、読者を
ミスリードするために存在したような。
市川悟郎は、特殊な超能力をもっていたんですね。、一度見たものは、忘れない
能力がある人のいるのは、しってましたが、悟郎さん、あそこまで見えるとは。。

一連の事件を通じて、それぞれ変化はあったようですが、あいかわらずの人も。
で、この後、町はどうなるのかな?結局、あれだけの水柱がたっても、
「ゲリラ豪雨だったから」で終わりになるんだろうな。
真実を知るのは一部のみで。
(もし町の実像を住人が知ったら、パニックになるか、もしくは資産価値が下がるからと
隠蔽にはしるか、かな)

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地学的にこういう町って、あるのかな?実際?
posted by kiyorin at 01:20| Comment(0) | 恩田 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月21日

夢違

夢違 (角川文庫) [文庫] / 恩田 陸 (著); KADOKAWA/角川書店 (刊)
「夢違」     恩田 陸  著   角川文庫
夢の映像を記録した「夢札」、それを解析する「夢判断」を職業とする浩章のもとに、
奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する、集団白昼夢。浩章はパニックに陥った子供たち
の面談に向かうが、一方で亡くなったはずの女の影に悩まされていた。日本で初めて予知夢を見て
いると認められた、結衣子。災厄の夢を見た彼女は―。悪夢が現実に起こるのを、
止めることはできるのか?戦慄と驚愕の新感覚サスペンス!
(「BOOK」データベースより)
*******************************************************************************
謎が一杯で、真相がきになりつつ、読みました。
最後まで、謎は謎のままで・・・

これは、サスペンスというより、ホラーの要素も多いでしょうか。
気がつくと、防犯カメラに映っている死んでいるはずの女性・結衣子。
ホテルで窓から外を見ていると、後ろのベッドに、また結衣子。ベッドには痕跡はないのに。
毎日のように同じ夢をみるのも、惨事の予知夢も怖い_(_^_)_

テーマ曲のような、ドビュッシーの{沈める寺」は、いい曲なので是非、聞いてみて下さい。
* 沈める寺・・・・海の中に立つ都市が、ある事をきっかけに海に沈みます。
で、その都市が、霧の中で海から浮かび上がってきます。そこからは、寺の鐘の音や僧侶の合唱
が聞こえてきます。最後は、また、海に沈んでいきます。

富田 勲 編曲のシンセサイザーバージョンのほうで想像すると、やはり怖いです。
僧侶の合唱の部分が聞こえてきて、
「これから予言をつたえます」と厳かにはじまり、凶事ばかり夢を毎日みてたら、
さすがに怖いだろうと。。

ところで、最後だけ納得できないのです。
「現在」の最後のほうで、「結衣子はもう長くない」みたいな言葉に、体をゆらすと頭がガクっとなる
のは、「?死んだのかな?」と思った。次の章を読むと、しっかりハッピーエンド??でしょ?
島田さん、奥さんはどうしたの?^^;;とつっこみたくなる。

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posted by kiyorin at 23:04| Comment(0) | 恩田 陸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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