蒲公英草紙 常野物語 恩田 陸 著 集英社文庫常野シリーズ2作目。今回は長編です
<あらすじ>
”お婆さんと思われる女性の思いで話しから始る物語。
彼女・峰子が、故郷の村の旧家・槇村家に お嬢様の話し相手に出入りする
頃からの話です。
槇村家には お嬢様の聡子様は、病弱で学校も行っていませんが、峰子が出入りする
ようになって、少しづつ健康になっていきます。(のように見えるかな)
槇村家は、ある歴史的な事情から、村のために当主は いろんな働きをします。
、
貧乏な家の子を書生にしたり、画家の卵、仏師、奇天烈発明家、代議士
いろんな人が出入りし、いろんな事が起こります。
村のためになることなら、財産もおしげなく使う家風。
で、槇村家に、常野の春日一家もやってきました。
彼らには、とにかくなんでも記憶し、人の心すら記憶する特殊能力の持ち主
一方、聡子様は、峰子と、一緒に、
村の子供の面倒をみる(保育所?みたな)までになりました。
ある時、台風がやってきて、ちょうど子供達を見ていた二人は
お寺に避難することになるのですが・・・”
* * *` * *
最初は、もったりというか、ゆったりしています
(読んでいて、途中で何度も眠くなった)
それでも続けて読めたのは、この村の様子が、一種、閉じられた桃源郷
のように、平和で、その様子に癒されるからかな。
予知の能力をもっていそうな聡子様の言動も気になりました。
ただ、村は良くも悪くも、そこだけでなので、世界大戦へつながるあやうい世情なのに、そんな事は、何も知らず平和です
桃源郷・・じゃあ、私はそこに住みたいか?といわれると、即答できないです
平和で助け合いの村は、逆にいくと閉鎖的で
うっとうしくなる気もします
槇村家に出入りする代議士が、自分の生い立ち
「貧しい家で 姉は自分の代わりに
両親に酷使されたあげく、二束三文で売られた」を独白した内容は、スッキリします
代議士の育った村が、現実の村であり、槇村家の勢力下にあり、主人公
の故郷である村が、ありえないくらいです。
ところで。画家の椎名は、新太郎の純粋性の危うさと、国の方向性の危険を わかっていたようです。
こういう冷静な人を 家に逗留させる家長の力が、旧家ならではです
聡子様と峰子が遭難するのは、もう話しの最後の最後のほうですが
この件は、涙なしでは読めない・・号泣もん
光比古は、最後で不思議な力を発揮。
聡子の一生を、情景と、その感情も周りの人と共有するのですから
人間は心は 自由であるとも孤独とも 言われてます。
例えば 誰かの感情を、頭では理解できても
同じく共有する事が出来ない。それが、光比古は 出来たんです
(まるでバルカン人かww)
まあ、人類すべてが、同じ感情を共有する なんてのは、まっぴらゴメンですが・・
「たまにならいいかも」くらいで
ちなみに、〜比古は、神様の名前で。よくでてきますね
本当にページの最後になって、語り手峰子の現在の状況が出てきます。
「おおおっとって」かんじで、予想外でした
絶望する自分を 離れたところから観ています
峰子は、光比古に問いかけるところで 話しは終わり
絶望しつつも、自分の嫁と孫のために、峰子は奮闘するでしょうけど
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posted by kiyorin at 01:50|
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恩田 陸
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