京都から能登半島の海辺の研究所に派遣された大学院生・守田一郎が、
その辺境さに嘆き、京都の同僚や先輩に手紙を送る。
本の表紙は赤い風船に乗った女性に、手紙に埋もれた主人公らしき人物と、なかなかファンタジーです
この物語は殆ど、守田氏が送った手紙で出来ています。
手紙の内容によって、彼の行動や心、相手の手紙の内容をうかがい知ることが出来ます。
この本は、王様のブランチで紹介された松チョイの本で、当然、おもしろかったですが・・例えば、突然ドラゴンがでてきたりとか 王宮のでの陰謀で命を狙われるとか、スペクタクルな話しではないので、ちょっと、ワクワクドキドキ度は少ないかも
でも、抱腹絶倒の内容で、守田氏のヘタレぶりがよくわかりました
守田氏は、空威張りしてるようだけど、臆病で恋人に手紙を贈ることができません(失敗書簡集なんて章がありました)
それ以外の話しについては、ウィットがきいていて、絶妙の文章なのに、自分の好きな人の話になると、途端にパニックになるんですね
手紙をつうじて、彼の一生懸命な態度があらわれてます
「恋文代筆業」なる会社を立ち上げるなんてのは、本気ではないでしょう。ただ、社会へ出る前に夢がみたかったのかも(一種の現実逃避かな)ヨレながらも最後は自立していく守田氏。
最後はなけなしの勇気を振り絞って、デートに誘う手紙で終わってるのですが、・・なんか、いままでの自分の生活日記がながながとあり、結局、工夫を凝らすこともなく不器用に彼女を誘ってます
ところで、この本は、私は読み方を失敗しました^^;
いつものペーズで読んでいたのですが、途中で飽きてきた
「守田さんから今日はどんな手紙がきてるのだろうか」「へ〜〜私って、そんな事を書いたんだ」 みたいな、自分が守田氏の文通相手のつもりでゆっくり味わって読んでもよかったかも