2009年05月06日

恋文の技術

恋文の技術  森見登美彦  ポプラ社

京都から能登半島の海辺の研究所に派遣された大学院生・守田一郎が、
その辺境さに嘆き、京都の同僚や先輩に手紙を送る。

本の表紙は赤い風船に乗った女性に、手紙に埋もれた主人公らしき人物と、なかなかファンタジーです

この物語は殆ど、守田氏が送った手紙で出来ています。
手紙の内容によって、彼の行動や心、相手の手紙の内容をうかがい知ることが出来ます。

この本は、王様のブランチで紹介された松チョイの本で、当然、おもしろかったですが・・例えば、突然ドラゴンがでてきたりとか 王宮のでの陰謀で命を狙われるとか、スペクタクルな話しではないので、ちょっと、ワクワクドキドキ度は少ないかも

でも、抱腹絶倒の内容で、守田氏のヘタレぶりがよくわかりました
守田氏は、空威張りしてるようだけど、臆病で恋人に手紙を贈ることができません(失敗書簡集なんて章がありました)
それ以外の話しについては、ウィットがきいていて、絶妙の文章なのに、自分の好きな人の話になると、途端にパニックになるんですね

手紙をつうじて、彼の一生懸命な態度があらわれてます
「恋文代筆業」なる会社を立ち上げるなんてのは、本気ではないでしょう。ただ、社会へ出る前に夢がみたかったのかも(一種の現実逃避かな)ヨレながらも最後は自立していく守田氏。
最後はなけなしの勇気を振り絞って、デートに誘う手紙で終わってるのですが、・・なんか、いままでの自分の生活日記がながながとあり、結局、工夫を凝らすこともなく不器用に彼女を誘ってます

ところで、この本は、私は読み方を失敗しました^^;
いつものペーズで読んでいたのですが、途中で飽きてきた

「守田さんから今日はどんな手紙がきてるのだろうか」「へ〜〜私って、そんな事を書いたんだ」 みたいな、自分が守田氏の文通相手のつもりでゆっくり味わって読んでもよかったかも

posted by kiyorin at 00:42| Comment(0) | 森見登美彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月19日

宵山万華鏡


宵山万華鏡

宵山万華鏡

  • 作者: 森見登美彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/07/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




宵山万華鏡  森見登美彦 著  集英社

京の宵山の日にまつわる、6つの連作短編集。

1編目と6編目は、宵山で迷子になった妹画。1編目「宵山姉妹」
は、バレエ教室の帰りに寄り道し、迷子になりかけた妹が 
視点の話しで、
6編目「宵山万華鏡」は、その妹を探す姉が体験する
宵山の不思議世界の話。
大坊主にもどんな不思議にも、物怖じしない姉だからこそ、妹をしっかりつかむ事ができました。

2編目「宵山金魚」は、宵山を見物に来た藤田、3編目「宵山劇場」は藤田を迎える乙川と小長井とその他 学生達の話

4編目「宵山回廊」と5編目「宵山迷宮」も ついになってます。
迷宮のほうは、怖かったです。この手の話しは、怪談より怖いです。

不思議な世界と、現実が交わってしまったんですね、宵山という場で。

確かに、よく言われてる事があります。
「盆踊り」では 先祖が帰ってきて一緒に踊っているとか
露天でよくお面を売っているのは、「精霊や妖が、顔を隠すため」
なんて話し

「痛快・愉快」なのは、2,3編目
例えば
3編目の「・・・その時は僕が無益なことばかりさんざんしたもんで、さんざん迷惑かけちゃった。それで今回の仕事が回ってきたわけ」
「ちょっと待て、なぜ迷惑をかけたのに、仕事を頼まれる」
なんて、会話には爆笑しました^^)

”不思議世界と交わった”のは、乙川君と愉快な仲間達による膨大なエネルギーの発散に原因があるかな、なんて・・妄想かなww

全編に金魚、赤い浴衣をきた女の子達が、でてきます。
それと超金魚・・^^;

本のカバーも凝っていて、構図にも理由があります
(・・・カバーをめくると、超○○がいたwww)

森見登美彦ファンは、もちろん
「今年の夏も平凡に 仕事のみで終わった」という人には、超おすすめ
本の中で、懐かしい祭りの出店の気分と、ホラーな気分も味わえます

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posted by kiyorin at 01:35| Comment(2) | 森見登美彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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